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第19話 好き 大好き 愛してる
2008年9月3日3版

   中国人の特徴・特質について書かれた書物は、巷に溢れかえっている。しかし失礼ながら、どれもこれも隔靴掻痒。「中国人は○○だ」と書かれたものを見る度、どうも合点がいかないのである。何故か?それは中国人の最大の特徴が多様性にあるからである。この猫虎飯店の執筆時に仮説を検証する一つの手立てとして中国人へのインタビューを行っているが、これらがいつも見事にバラついている事に読者の方々も既にお気付きであろう。そう、今回のテーマはこの中国人の多様性についてである。
  今回のインタビューの質問は、「恋人同士が睦み合う言葉、好き(我喜??),大好き(我很喜??),愛してる(我愛?)、感覚の違いは?」注1  “こんな基本的な愛の言葉でバラつく筈は無い”と思われる日本人は多いのではないか? 否、中国人でさえそう思うのである。よって、この質問を考えた私自身もかすかにその懸念が頭をかすめたものの、訊ねた最初の3人がいきなり三者三様の答えだった。したがって、多様性を証明するための設問選定が正しかった事を、直ぐに確信出来たのであった。
  都合50人にインタビューした結果を下に示す。注2  何と答えは10通り。これには、中国人の多様性には馴れっこになっている老松自身も驚いた。また、中国人自身もそのバラつきに驚き、その驚く様子に老松も2度目の驚きを味わわせてもらった。さらに、たとえ少数派の回答であったとしても“我こそが中国人全体の平均的考えだ”と思い込んでいる人が多いのである。少数派である事を伝えても、「え”っ!うそ!中国人は皆私と同じ考えでしょ?え〜?」ととても狼狽する姿が。

  結果は上の表の通りである。面白い貴重な意見が多かったが、特に印象に残ったものを誌面の都合で1つだけ。Fの「“大好き”を彼氏から言われるのはOKだけど、自分からは言わないor言えない女の子」これは良く解る。日本人女性も多いかと思う。しかし、Gの男性版には驚いた。そんな軟弱な男、老松出身の九州男児であれば、市中引き回しの上、島流し必定である。インタビューの途中で別の中国人に訊くと、「嘘でしょ。そんな男、中国人には居ないわよ」〜「へぇ?そんな男居るんだ」〜「居ますよ。私の旦那もその口かな」、このリアクションも幅広い。
  この様に、中国人へのインタビューは多様性の宝庫である。これだから中国での消費者へのマーケティングを、緻密にセグメンテーションしなければならないのである。だから中国は面白い。だから中国はやめられない。

PR) 筆者がパーソナリティを務める『中国の音〜ネットラジオ版〜』、第5回がuploadされました。是非、こちらも御一聴下さい。第5回 「中国人にとっての日本語」 
 
謝辞) 執筆に当たり御協力戴いた、Baiwei孫,Sunny孫,ゆりん周,倩倩,朋音,Lisa王,Lily孫,Super汪,Michael王,Rita楊,Monsoon王,ありがとうございました。その他、インタビューに回答を寄せてくれたOKI日沖半導体(上海)有限公司のスタッフの方々にも感謝します。また、yunyun朱の品質の高い中文翻訳にも深謝します。(敬称略)
注1)  言語は一対一に単純に直訳する事は出来ないが、ここでは便宜的にそう表現した。
注2) 上海在住の70年代&80年代生まれの会社員と学生50名。
注意) 『老松の猫虎飯店』の著作権は、全て松原弘明に帰属します。無断転載を堅く禁じます。
 

松原弘明プロフィール
大学在学中の80年代始め、プロのジャズピアニストとして福岡で活躍。その後OKIに入社、入社後一貫してサウンドLSIの開発に携わる。同LSIの商品企画部長を経て、2004年2月より上海在住。現在、OKIの半導体中国拠点 の董事副総経理。http://www.osts.com.cn
会社経営を本業に、エッセイ執筆(中日文化差異)、ジャズピアノ演奏、講演(中国での会社経営,中日文化差異)と、上海を中心に幅広く活動中。
早稲田大学 アジア太平洋研究センター 日中ビジネス推進フォーラム 特別講師。
中国語学校 漢院 特別顧問。

 


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